大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(ネ)195号 判決

次に、訴外沼田嘉市が控訴会社のために本件手形を振出す権限を有していたか否かの点について案ずるに、右沼田嘉市が控訴会社のために手形を振出す権限を与えられていたことについては、これを認めるに足る証拠はない。しかしながら右沼田嘉市が太平広告株式会社東京支社長なる名称を付されていたことについては当事者間に争がなく、また控訴会社が本件手形の振出人欄に表示されている場所に支社を有していることはその認めるところであり、証拠によれば、右支社は、支社長の下に東京方面における控訴会社の営業全部を自ら行い、支社名義で手形を振出すことをも許されていたこと(ただし内規による制限については後述)を認めることができるから、右支社は支店としての実質を具えていたものであり、その長たる支社長の名称を付せられていた沼田嘉市は商法第四二条にいう支店の表見支配人にあたるものというべきである。なお証拠によれば控訴会社の東京支社が自ら手形を振出す場合にはあらかじめ本店の許可を受ける内規があつたことを認めることができるけれども、かような内規は、むしろ支配人の代理権に加えた制限に過ぎないものと解すべく、かような内規があればとて沼田嘉市が表見支配人であるという前記判断を妨げることはできない。

(小沢 仁分 池田)

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